FX通貨の特徴

FX通貨の特徴

FXは通貨ペアの選択から始まります。

 

通貨ペア選びは、個人の投資のスタイルやその時の世界経済の状況によって、選択の基準も変化します。

 

また各国の通貨には政策金利の違いだけでなく、値動きに影響を与える経済事象にも違いがあったりします。

 

通貨ペアの選択の前に、FXで取り扱われる主な通貨それぞれの特徴を理解しておきましょう。

米ドル:USD

 

現在、世界で最も取引量が多く、最も信頼される通貨です。国際間の貿易や資本投資の決済に広く用いられており、世界の基軸通貨キーカレンシー)として長らく君臨しています。

 

例えば日本がアラブ諸国から原油を輸入する際でも、日本円やアラブ諸国のリヤルなどの通貨ではなく、米ドル建てで決済が行われるのです。

 

また各国の中央銀行あるいは中央政府が、外貨準備を行う際にも米ドルが多用されています。

 

つまり世界各国の経済や金融と、米ドルの為替レートとは深く相関するわけです。

 

以上のことから、米ドルは外国為替市場においても中心的存在になります。

 

米国の政治や経済が世界各国の通貨にも影響を及ぼすため、市場参加者全員が米国の経済指標金融政策対外政策要人(米国財務長官やFRB議長)の発言に注目しています。

 

特に定期的に発表される米国の経済指標には、世界の為替市場が敏感に反応するため、トレードにおけるチャンスもここにあると捉えることもできます。

 

主に注目される経済指標
  • FOMC議事録
  • FOMCの発表する政策金利
  • 雇用統計・失業率
  • 消費者物価指数
  • 住宅販売件数 …etc.

ひと昔前には「有事のドル買い」、あるいは最近では「有事のドル売り」などの言葉もあり、戦争やテロなどが起きた時にも真っ先に注目を浴びるのが米ドルです。

 

基軸通貨としての安全性から有事の際に米ドルが買われる傾向にあったのですが、9.11のテロ以降は各地で起きる戦争やテロに米国が直接関連していることが増えたため、逆に米国経済の低迷を懸念米ドルが売られるパターンも現れました。

 

ユーロ:EUR

 

28カ国が加盟する「EU(欧州連合)」の内19ヶ国で採用されており(2016年現在)、為替市場における取引量も米ドルに次いで世界で2番目となる通貨です。

 

ユーロを採用するEU加盟国はさらに増えると予測されるので、その信頼性や今後の価値の上昇における長期的な展望から、各国の外貨準備の際のユーロ比率も高まっており、現在世界第二位基軸通貨としての地位にあります。

 

一方で、複数の国家がユーロを採用している以上、その値動きに影響を与える不安定な要素もたくさん抱えているという側面もあります。

 

近年取り沙汰されている「PIIGS」(財政の状況が悪化しているポルトガルアイルランドイタリアギリシャスペインの頭文字をとった造語です。)の問題や、領土紛争を抱える地域の存在、直近では20166月に行われた英国の国民投票によるEU離脱決定など様々な懸念材料から「ユーロ崩壊」の危機を唱える識者も少なくありません。

 

ユーロに関する政策は形式的に独立した機関である「欧州中央銀行(ECB)」が担っており、ユーロ政策金利もこの機関が決定し発表します。

 

よって、欧州中央銀行(ECB)総裁の発言は為替市場に大きな影響を与えることになります。

 

また、ユーロを採用している国の中で特に経済力を持つのはドイツフランスで、この二カ国の経済状況がユーロの値動きに大きく影響を及ぼします。

 

中でもユーロ圏最大の経済大国であるドイツの景気が「欧州中央銀行(ECB)」の金融政策に色濃く反映されるため、ユーロの値動きを追うには、ECBの発表する指標ドイツの経済機関が発表する指標の両方が重要視されます。

主に注目される経済指標
  • ドイツとフランスの失業率
  • ECBの発表する政策金利
  • ドイツの小売り売上高
  • ZEW景況感指数
  • IFO景況感指数 …etc.

ユーロはそもそも米ドルに対抗する形で誕生し発展してきた通貨ですが、その特性としも際立つのが、米ドルの値動きに逆行する傾向にあるということです。

 

米ドルにとって何らかのマイナスなニュースがあると、一時的避難として真っ先に買われるのがユーロ、といったパターンは頻繁に見受けられます。

 

日本円:JPY

 

極東の小さな島国でありながら、世界有数の経済大国である事と、地理的にも政治的にも戦争が起こりにくい背景を持つ安全性から、日本円世界三大通貨の1つに数えられるほど取引量の多い通貨です。それだけ海外の投資家たちも注目している通貨とも言えます。

 

日本円の大きな特徴
  • 安全性と安定性から有事の際に買われやすい
  • 世界的に見ても超低金利である
  • 政府と日銀の独断的市場介入がある
  • 自国株の値動きに逆行する …etc. 

 

日本円が影響を受ける主な要因は日本の経済指標ではなく海外の経済情勢です。これは日本経済が貿易(特に輸出)によって支えられていることによるものです。

 

特に最大の貿易相手国である米国経済指標要人発言に影響を受けます。近年においては中国の政治・経済情勢にも着目するべきでしょう。

 

また、日銀総裁財務大臣等の要人の発言も為替相場に大きな影響を与えます。

20134月に日銀黒田東彦総裁が打ち出した「異次元の金融緩和」と表現される金融政策の発表は、当時の株式市場や為替市場に多大な影響を及ぼしました。

 

日経平均株価は1ヵ月余りの間に12,000円台から16,000円近くまで約30%ほども上昇、円相場も1ドル93円から103円の円安に。

 

その離れ技的な影響力から「黒田バズーカ」とも呼ばれ、その後第2弾・3弾と放たれるたびに投資者の注目を一身に浴びています。

 

英ポンド:GBP

 

日本では英ポンドと呼ばれることが多いのですが、正式にはスターリング・ポンドです。国際通貨コードは「GBP」ですが「STG」と略記されることもあります。

 

その通貨としての歴史は、全盛期には世界史上最大の面積を誇った大英帝国の隆盛と共にあり、第二次大戦後の米ドルの台頭までは世界の基軸通貨として君臨していました。

 

大戦後のイギリス国内の経済の衰退と米国の経済力の躍進により、英ポンドはその地位を失うことになってしまいましたが、それでも現在の為替市場においてユーロ・日本円に続いて4番目に取引量の多い通貨となっています。

 

この英ポンドですがその値動きの激しさから「じゃじゃ馬」「殺人通貨」などとも呼ばれます。
これは多くの投機的な投資家ヘッジファンド英ポンドに集まりやすいからです。そこにはイギリスの政治経済の不安定さが露出しているともいえます。

 

FX初心者には実に取り扱いの難しい通貨で、まさにハイリスク・ハイリターンという言葉が似合います。
長期保有にもまるで向いておらず、おもにデイトレードスキャルピングなどの短期売買を手法とするベテラン投資家が取り扱うべき通貨です

 

主に注目される経済指標
  • BOEが発表する政策金利
  • BOEインフレレポート
  • 小売売上高
  • 鉄鋼業指数 …etc.

 

不思議に思う方も多いかと思いますが、イギリスはEUに加盟していながらもユーロを導入することはなく、2016年のイギリス国民投票により、ついにはそのEU自体からの離脱も決定されました。

 

そもそもEUに加盟したのは第二次大戦後のイギリス経済の低迷からの脱却のためであり、本来は大陸との経済的協調には懐疑的な国民や政治家も多かったのです。

 

1990年には反対意見も多い中、ユーロへの参加を進めるため、欧州為替相場メカニズムERM)に加入はしたものの、その2年後には早々と離脱する事になります。

 

そのきっかけとなったのが、1992年、ジョージ・ソロスという人物が率いるヘッジファンドが仕掛けた大量のポンド売り浴びせに、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行の買い支えが追いつかず、ERM脱退を余儀なくされた事件です。

 

一人の人間の着想に大国の中央銀行が屈服するという前代未聞の事件ではありますが、皮肉なことにもこのポンド危機を契機に、イギリス経済はその後の復調に転ずることになります。


ホーム RSS購読 サイトマップ